三宅島農業視察 2001.11.4-6

三宅島農業委員会12名で三宅島農地視察を行った。大量に出続ける火山ガスを実際に見て、肌で感じ、泥流対策、ライフライン復旧の困難さを実感し、今回の噴火災害の深刻さを再認識した。今回視察した時点でも農地の降灰状況、パイプハウスの破損状況、作物の被害状況、用水の問題など深刻であり、さらに時間が経過すれば自力での復興は困難を極めるであろう。是非とも国、都、村には支援をお願いしたい。
(このページは参加一委員西野の報告です。正式には後日、三宅村農家へ農業委員会から視察報告がされる予定です。)


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東京から神津島に着き、ヘルメットとガスマスクを受け取り、はまゆう丸に乗り換え三宅島に向かう。工事関係者、行政関係など結構多くの人が渡る。
三宅島錆ヶ浜港に向かう。火山ガスで青白く島が霞んでいた。モクモクと出る水蒸気と棚引く大量の火山ガスを見ると厳しい現状が実感される。
農業委員会一行は村役場のクリーンルームに宿泊。火山ガスが来た時は、この脱硫装置が稼動する。視察中もSO2が5ppmになり、一時クリーンルームに避難。
雄山の村営牧場まで行ったが、かつての緑溢れる雄山はなく降灰と枯れ木だけの荒涼とした世界。笠地のダムも使用不能、阿古地区の農業用水をどうするか大きな課題だ。
麓に来ると以前の緑豊かな景観。西原(伊豆地区)のダムは外見は異常無いが、集水、配管についてはわからない。
神着地区のハウスは殆ど降灰で倒壊している。
大長井(坪田地区)では泥流で埋まったハウスもある。泥流の厚さは1.5メートル位。
坪田地区以外の地区は、火山ガスの影響だろうが、ハウスのパイプが腐食し殆ど使用不能状態。帰島後は撤去、新設しなくてはならないだろう。
降灰の多かった下馬野尾(神着地区)の農地降灰は十数センチあり、降灰除去しなければ耕作はできない。
神着、伊豆、伊ヶ谷地区の農地は竹の繁茂が甚だしく、あと一年もすれば竹やぶになってしまう畑も多いと思われる。
伊豆七島特産「あしたば」は火山ガスの影響が見られず青々している。
「サカキ」も火山ガスの影響が見られず元気が良い。杉や園芸作物にくらべもとから自生している植物はガスにも強いようだ。
「サトイモ」は昨年の小芋が育っているが、降灰やガスの影響だろうか、地区によって種芋に使えるところと種芋にも使えないところとがあった。
「茶」は火山ガスに弱いらしく全島枯死していた。
三宅の主幹作物の「レザーファン」は坪田地区の一部を除いて枯死している。帰島後の種苗確保が課題だろう。
薄木(阿古地区)は火山ガスが酷く、殆どの園芸作物が枯死していたが、「ドラセナ」は一年以上経っても生育を続けており帰島後も種苗として使える可能性はあるようだ。